News - 2022/07/20

Art Project with Shippio

「 一人一人の描く海 」

 

【 前編 】

アートで表現するShippioのカルチャー

Expressing Shippio’s culture through wall art

前編 / アートで表現するShippioのカルチャー

2022.07.20

 

About the Project

国際物流のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を目的に、デジタルフォワーディングサービス(*)を展開する株式会社Shippio

Shippioは物流業界に変革を起こすスタートアップであり、その組織は急速に拡大している。2022年夏、同社の事業の成長とともに5度目のオフィス移転を行うにあたり、新オフィスの空間デザインをIILS.が担当した。

新しい拠点となるのは、恵比寿や渋谷などベンチャーやスタートアップ企業が多く存在する都心部ではなく、目の前に東京湾が広がる浜松町のビル。ビルを囲むように首都高が流れ、物流の動脈静脈感を感じられる場所だ。

「物流を変えていく。」そんなShippioの思いを、オフィス全体で表現した今回のプロジェクト。入口を抜けた一瞬で「ここがShippioのオフィスである」その印象を強く見せることにこだわった。広々と抜けのある空間では貨物船をモチーフにしたカウンターが出迎え、海の風景をイメージする造作を細部に至るまで取り入れた。

貨物の輸送に使われる木製の中古パレットを活用したソファ、ずっしりと重さのあるロープを用いた通路の柵、帆布を使ったルームサイン… 来客者はもちろん、日々この場で働くメンバーが居心地の良さを感じられる空間を目指した。ここを拠点に、Shippioの新たなステージが始まる。

*フォワーディングとは、顧客(荷主)に代わり、貨物の輸出入に伴う、さまざまな貿易関連業務を担う事業のこと。Shippioについてのくわしい情報は、Shippioの歩みをイラストと数字で振り返る「6周年記念インフォグラフィックス」をご参照ください。https://www.shippio.io/6th-anniversary/

「Shippio Office」 2022年7月末完成予定

アートプロジェクトの発足

そのオフィスの壁面を彩るアート。制作は、新オフィスの工事が進む中、六本木にある旧オフィスでスタートした。国内だけでなくグローバルフォワーディング市場への展開を目指し急成長するShippioの組織。

メンバーには、総合商社出身の共同創業者2名をはじめとして、 物流系に限らず、テック・IT、メーカー・商社・卸、コンサル・金融などグローバルで多様なバックグラウンドと専門性を持つスペシャリストなメンバーが集まっている。

複雑・難解な課題が満載な国際物流の世界に変化をもたらすためのチャレンジングな姿勢はもちろん、グローバル・ダイバーシティを大切にしたカルチャーが組織にしっかり根を張り育っている。

そのような組織の「多様性」や「勢い」をアートで表現したい。それがこのプロジェクトの狙いとなった。

アートのテーマは、「一人一人の描く海」。

「海」を題材にしたのは、Shippioが挑む国際輸送手段の一つである海上輸送を想起させるものであること。

また、それぞれがイメージする海をキャンバスに描くというシンプルなテーマを設定することで、ダイレクトに「多様性」の表現に繋がること。それが「Shippio」を表すアートとして完成することを意図した。

新オフィスエントランスイメージ。右の壁面がアートの設置場所

一人一人の描く海

アートの制作はチームごとに6回に分けて開催した。普段向き合うパソコンとは異なり、真っ白なキャンバスと絵の具を目前に妙な緊張感が漂う中、それぞれが自分のキャンバスに描きはじめた。

もちろん、普段から絵の具に慣れている人なんて1人もいない。しばらくじっくり考える慎重派や、下絵から描き始める人、とりあえず白い絵の具を塗りながら筆の感触を確かめる人も。戸惑いながらもそれぞれのペースで自分のスタイルを模索し始める。

「海」という、誰もがそのワードを聞いて簡単にイメージすることができるテーマだが、それぞれがイメージする海は決して一つではない。特にバックグラウンドも国籍も多様なメンバーが集まるShippioでは、海と聞いて浮かべる青は一つではない。

日本人だけであれば淡い水色が一般的なのかもしれないが、鮮やかなターコイズブルーから濃いネイビーの深海まで、浮かべる色も情景も幅広い。

アートとして全てを飾った時に、そのイメージにShippioの持つ多様性が絵として発揮されるのではないか、そのような狙いが現実味を帯びてくる。

普段隣で働くメンバーのクリエイティブな一面をこのような形で見ることができる機会は少ない。いつもの仕事ぶりとは違って意外なセンスを発揮する姿に周りのメンバーが驚く表情も垣間見え、周りの想像力も開花する。

一人一人が本気で取り組む姿がとても印象深く、どんなことにも一生懸命なチームなのだろうと、見ているこちらの想像も膨らむ。

海に映った光の反射や夕日が差し込む海に浮かぶ船、好きな映画のシーンを思い出しながら描く場面も。

描き方にも個性が発揮される。筆を使わず紙で色付けをしながら、海を描く前に夕日の情景作りを入念に行うプロダクトエンジニア。質感にこだわりながら静かにキャンバスを叩きながら描き進める。

その先を見越して段階ごとに色付けをするプロセスには、普段の仕事ぶりまで垣間見えるようだ。

役職もポジションも関係なく、一人一人が自分のキャンバスに向き合う時間を過ごした。絵の具の載せ方も、描き方も自由。納得のいくまでそれぞれの海を描いた。

(下写真)プロダクトデザインマネージャー西藤さんの作品。海、空、雲、夕日が海に反射する情景を描いた作品。頭の中にあるイメージを黙々と描く姿が印象的だった。

ー (西藤さん) 「ShippioのAnchors(アンカーズ) (*)」 の一つである「光を目指し続ける」から光を連想するアートをイメージしました。海の光景の中に太陽を描くことを決め、さらにShippioの特徴でもある多様性を表現するため、青一色ではなくいろんな色を混ぜて描きたかった。

統一感なく個性が活きるShippioらしさも表現できたのではと思います。」

* Shippioでは、メンバーに求めるバリュー(行動指針)のことをAnchors(錨)と呼んで大切にしている。

(下写真) アメリカ出身のエンジニア Shawnさんのアーティスティックな作品。

ー (Shawnさん)「テーマは「深海」です。上から見ると、まず見えるのは穏やかなピンク色の空。その下に見えてくるのは、濃いブルーとグリーンの海の深さです。

色の移り変わりは、一見単純なようで、実は奥が深い物流業界を表現しました。Shippioは日々複雑な問題を解決しようと立ち向かっている組織ですが、Shippioなら必ず解決できるという思いをこのアートに込めました。」

(下写真) オペレーター 中居さんの作品。

ー (中居さん)「夕日に照らされる海を思い浮かべて描きました。浅い部分や深い部分、そこに住むたくさんの魚たちの生活、生育する海藻など、広大な海に存在する多くの情景を色で表現しました。

Shippioには異なる色を持つ個性的なメンバーが多く在籍します。それぞれの色が重なって新たな色が生まれるように、自分自身もこれからたくさんの新しい色を生み出していきたいという気持ちを表現しました。

また夕日には天気のいい日の僅かな時間にしか見ることのできない特別感を感じます。Shippioを、他では替えの利かない特別な存在にしたいという野望も込めました。」

アートには、最後に一つ宿題を設けた。それは、中央にそれぞれの思いをーつの言葉で描くこと。自分の描いた海に、これからのShippioに対する思い、今後の決意を表現する一つのワードを載せて、アートは完成する。

移転する前に一つ思い出が増えたという嬉しい声も聞こえ、いよいよ近づく移転、新しいオフィスへの期待がさらに高まった。

 

Next…

【後編】組織の成長とともに変化するアートウォール

出来上がったアートに載せたそれぞれの思い、そしてアートがオフィスに設置される様子は後編にて。

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